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吹雪さん(あえてそう呼ぶ)の方も、私の姿を見て少しびっくりしたみたいに目を丸くした。
「──── 美生……」
「……………」
(……っ、─── はあああっ!?)
呼び捨てにされたのだと気付き、愕然が唖然に変わる。
自分のことは何も話さなかったくせに、人のことは馴れ馴れしく呼び捨てにするって一体どういう了見よ!
まさか告白してきた女だから呼び捨てにしてもいいなんて思ってんじゃないでしょうね!?
第一、よく覚えてたな、私の名前!
一回しか名乗らなかったのに。
頬の筋肉が激しく痙攣するのを感じながら、私は無理矢理に口角を上げて笑顔を作った。
「……これはこれは。余命1ヶ月の、吹雪さんじゃないですか。お家で療養してなくていいんですか」
ありったけの皮肉を込めて言うと、吹雪さんはキョトンとしたように小首を傾げた。
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