第2話 ハードボイルド先生の自己紹介

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第2話 ハードボイルド先生の自己紹介

キーンコーンカーンコーン やっと俺の初授業が始まった。 「はーい、席につけ。授業始めるぞー。 誰か、号令よろしく。」 「起立、礼。」 「はい、お願いします。着席して。 先週、学級閉鎖になったので改めて自己紹介します。このクラスの担任兼英語担当だ。よろしく。」 「先生、今日はみんなのことも早く知ってもらいたいので、自己紹介はどうですか?」 1人の生徒がそう言った。 「うん、いい機会だから、そうしよう。 じゃ、名前、好きなもの、得意なこと、あと一言言おうか。 じゃ、まず先生から。」 「先生の名前は、桜庭清人(さくらば せいと)だ。よろしく。好きなものはブラックのコーヒー。ちなみにジャマイカ産の豆が好きだ。何と言ってもあの香り!!素晴らしい!!そして…」 キーンコーンカーンコーン。 今日の授業は自己紹介のはずだった。 しかし、コーヒーの話をつい長時間にわたり話し続けてしまった結果、生徒誰1人が自己紹介することなく終わってしまった。 生徒は呆れた顔を隠せない様子だった。 職員室に戻った俺はコーヒーを淹れる。 そして湯気が立つコップに鼻を近づけ、香りを嗅ぐ。 「やっぱ、コーヒーはジャマイカ産の豆に限るなー」 そう清々しい顔で言った俺の一言に隣にいた、ベテランのおじいさん先生が一言こう言った。 「それ、インドネシア産ですよ。」 まあ、人生こんなもんだ。 俺は驚いていないふりをしてコーヒーを一口飲んだ。
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