0人が本棚に入れています
本棚に追加
第2話 ハードボイルド先生の自己紹介
キーンコーンカーンコーン
やっと俺の初授業が始まった。
「はーい、席につけ。授業始めるぞー。
誰か、号令よろしく。」
「起立、礼。」
「はい、お願いします。着席して。
先週、学級閉鎖になったので改めて自己紹介します。このクラスの担任兼英語担当だ。よろしく。」
「先生、今日はみんなのことも早く知ってもらいたいので、自己紹介はどうですか?」
1人の生徒がそう言った。
「うん、いい機会だから、そうしよう。
じゃ、名前、好きなもの、得意なこと、あと一言言おうか。
じゃ、まず先生から。」
「先生の名前は、桜庭清人(さくらば せいと)だ。よろしく。好きなものはブラックのコーヒー。ちなみにジャマイカ産の豆が好きだ。何と言ってもあの香り!!素晴らしい!!そして…」
キーンコーンカーンコーン。
今日の授業は自己紹介のはずだった。
しかし、コーヒーの話をつい長時間にわたり話し続けてしまった結果、生徒誰1人が自己紹介することなく終わってしまった。
生徒は呆れた顔を隠せない様子だった。
職員室に戻った俺はコーヒーを淹れる。
そして湯気が立つコップに鼻を近づけ、香りを嗅ぐ。
「やっぱ、コーヒーはジャマイカ産の豆に限るなー」
そう清々しい顔で言った俺の一言に隣にいた、ベテランのおじいさん先生が一言こう言った。
「それ、インドネシア産ですよ。」
まあ、人生こんなもんだ。
俺は驚いていないふりをしてコーヒーを一口飲んだ。
最初のコメントを投稿しよう!