最強の魔術師

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◇ 小さな窓から差し込んだ日の光を反射して、部屋を舞うホコリがキラキラと輝いた。 古びた図書館の主は、年と共に錆び付いた体にムチ打って本の整理を始める。 御年80歳、偏屈な爺の趣味で作られた小さな図書館の利用者は少ない。 1日に数名の読書家が訪れる他は隙なものであった。 すんと鼻で大きく息を吸い込む、古びた本の香りとホコリの臭い。今の彼を構成する世界の全てである。 「お邪魔するわ」 図書館の静寂を破ったのは、聞きなれない女の声。 顔をあげると、どこか人間離れしたような印象を受ける、ブロンド髪の澄んだ美女が入口に立っていた。 「見ない顔じゃが、旅人かね?」 「まあ、そんな所ね。あなたがこの図書館の司書かしら?」 「そんな所じゃ。では旅人さん、何かお探しの本でもあるのかね?」 女はニヤリと笑った。 「本というか、貴方の話が聞きたいのだけれど」 「ほほ、こんな枯れた年寄りに何を聞こうと」 「このあたりに、何か面白い伝説や伝承は無いかしら?」 年寄りの男はしばらく考え込むと、やがて何かを思い出したように本棚の一角へと向かった。 「ああ、あったあった。この本じゃな」 男が見つけ出した本は、表面にホコリが被っているものの、深緑色の装丁が美しいものだ 男はパラパラと本をめくり、お目当てのページを見つけるとそれを読み始める。
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