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「風が淀んでやがるな・・・よくない事が起こりそうだぜ」
頬に大きな傷を持つ強面の男がぼそりと呟いた。その身なりはボロボロの鎧で武装しており、ある種の迫力がある。
「風なんざいつでも同じさぁ旦那。そんな事気にしてたらやってられないぜ」
周囲にたむろする部下たちの声に無言で頷き、傷の男・・・かつて伝説の傭兵として名を馳せた バースは静かに腰の得物を撫でる
山賊に身を落とし、人道に背く行為を繰り返す自分をずっと支えてくれる存在。やや色褪せた大振りの剣は、バースの唯一の友であった。
「さて、今日の獲物を探すとするか」
生きる意味も価値も無い
ただ
生きる
生きる為に奪う
彼らは限りなく純粋に生に向き合っていた。
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