高校時代

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一瞬なにが起きたのか分からなかった。  気がついたときにはなぜか学校の桜の木の前にいた。何でこんなところにいるのか分からなかった。覚えているのは崖から落ちたところまでだったから。目の前に何かが現れた。はるかはびっくりし、少し後ろに後ずさった。が、すぐに桜の木があったため、行けるのはそこまでだった。私は逃げるのをあきらめた。すると、目の前の何者かが声をかけてきた。 「あなたの願い叶えます。そして、あなたにはもう1度生きるチャンスを与えます」桜の目の前で会った彼女は私にそう言った。 「え?もう1度生きるチャンス?なにそれ?」 「ああ、あそこは自殺の名所って呼ばれてるの。だから私は、あなたのような自殺ではなく事故で落ちてしまった人の生き返りを担当しているんです」 「あなた、名前は?」 「あ、名乗るの遅くなってごめんなさい。私は桜の精霊のさくらこです。どうぞよろしく。私は、絶対あなたの見方です。私を信じてください」 「信じてくださいっていわれてもねー」 「お願いしますよ」 「じゃあ、証拠見せてよ。そうしたら信じてあげるよ」  そうやって私は生き返り、今の人生がある。それから生き返ってから約10年が経った今、私はモデルの仕事をしている。 しかし、10年経つとまた死んでしまう。そこでまたさくらこが現れ、継続して生き返りを続けるかどうか聞かれ、選ぶこととなる。今年は、ちょうどその年だ。彼と再会しても、しばらくの間は姿を消さなければならない。それを彼に伝えることができないまま、別れの春を迎えることとなった。
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