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『な、なに…』
嫌な予感がする。
『あんた、まさかとは思うけど…』
『だから、なに…』
悪寒がしてきた。
『勉強ばっかりで…そのはけ口に私たちの制服を隠し持って、こっそり着てんじゃないのかい?』
『えー! まさかの女装趣味!?』
『バババ、バカなことを…』
『いやだ! 汗だくになってる』
僕には知られたくない趣味がある。
『怪しい。なら、今からタカ坊の部屋を強制捜索しようか』
強制捜索なんかされたら…
『いい加減にしろ。くだらないことで、自分たちの弟を疑って恥ずかしくないのか』
『だって、お父さん。セーラー服が、二人ともないんだよ』
『それはお前たちがだらしないから、捨てたことを忘れてるんだ』
『じゃあなんでタカ坊がさ、こんなに慌ててるのよ』
『真面目なんだ。いきなり変態扱いをされれば困惑して当然だ』
『お父さんはタカ坊に甘いんだから』
『私は常に公平だ』
確かに仕事柄なのか、何事にも公平に対処はしてくれている。この場も父親の裁量で事なきを得た。
が…その別れ際、
『明日の夜、塾へ行ってる間にあんたの部屋を強制捜索するからね』
二人の姉が同時に、僕の両耳へ囁いていった。
まずい…今夜中になんとかしないと…
そこで深夜の2時…丑三つ時。
勉強してる振りをしていた僕は、皆が寝静まった頃を見計らってロフトへ…
屋根裏部屋に秘密の趣味を隠そうと、音をたてずに階段をそっと降ろした。屋根板のようになった扉を押し上げて、入り込もうとしたその時、
『あ!』
『あっ!!』
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