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「はいはい、わかってるよ。もう一本ね?」
よく噛むんだよ……と、いいながら慎一はおまけして二本出してくれた。
その好意に感謝しながら、私は二本のジャーキーを一気に口にする。
凝縮された肉の旨味を噛み締めながら、横目で慎一の顔を見た。
きっと呆れているのだろう……と、思っていたのだが、どこか彼の顔色が冴えない。
ゴクリと飲み込み、おや? と、私は顔を上げた。
ひょっとして、職場で何かあったのですかね?
何だか、殺人事件の第一発見者になったとか……
この間、そんなことを話していたのは覚えていますが、そのときはむしろ興奮気味だったんですけどね。
不思議に思っていると、慎一はしゃがみ込んで私の頭を撫でた。
「ダイフク……ごめんね。しばらくは家の周辺でしか散歩出来ないかも」
えぇ? と、私は口を半開きにさせたまま固まった。
一体どういうことですか?
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