第1章

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一週間後に調査結果を木田から見せられた。 「お前の杞憂だったようだな」 木田の言外には余計な心配はせずに売上をあげろ。そんな思いが見えた。 三鷹建築のレポートでは右肩あがりの売上高、利益の数字が上がっていた。にわかには信じらなかった。 自分が仕事を受注出来ていないだけなのか。しかし気になるのは三鷹建築の社長の動きだ。このところ会社に姿を見せていない。いったい何の仕事をしているのか。 次の日、三鷹建築でいつものように苦いコーヒーをすすりながら羽田に尋ねた。 「最近、社長を見かけないのですが?」 「まあ、忙しいからね~」 特に気にした様子は感じられなかった。 「営業に行ってるんですか?」 「私もよく知らないけど出張みたいで飛び回ってるわよ」 「そうなんですか~」 「ああ、そうだ。カタログ入れ替えますね」 山口は席を立ち奥のカタログコーナーへ向った。その奥に社長室があった。 耳をすましドアノブに手をかけた。カギはかかってなかった。 体を滑りこませた。 大きなデスクの上に書類が見えた。
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