第1章

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貴方の真似をしてコーヒーを飲み始めた。 ブラックなんていまだに飲めたもんじゃないけれど、コーヒーの香りがするだけで、大人になった気分になれた。 そうやって3年が経とうとしている。 「ほんと、ばかばかしい」 カフェオレの缶をぶらぶらさせながら、思わず溜め息と声が出た。 もう3年にもなるのに、私はまだ17のときから成長できてない。 何一つ、進んでない。 新しい恋をすれば前の恋を忘れられるらしいから、新しい人を探そうと努力してみた。 でも、いいな、と思う人はやっぱりあの人に似ていて。 別のことに夢中になれば忘れられるかもしれないと、何か趣味を探してみたりもした。 でも、あの人が好きだったものにしか興味がなくて。 あの人の色に、自分はこんなにも染められてしまっているのだなあ、なんてぼんやり考えてしまう。
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