第一章

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なんとか遅刻を2分までに抑えたまではよかった。 だが、一限目は数学で先生は鬼塚だった。 おまけに昨日出されていた課題もやっていなかったので、案の定、放課後に居残りをさせられる羽目になった。 黙々と課題に取り組む。窓を覗くと野球部とサッカー部が熱心に活動しているのが見えた。 決して、運動が嫌いというわけではない、むしろ、中学の時は野球部でレギュラーも取っていた。 けど、特に続ける理由もなく、高校に入ってからは、ボールにすら触っていない。 けれど今の生活に不満があるわけでもない。 どこの部活にも所属してないから、すぐに家に帰れるし、自由な時間もいっぱいある。 部活をやれば、生活に多少の張りが生まれるかもしれないが、その労力に見合うとはとても思えない。 そんなことを考えながら、ようやく最後の問題を解き終えた。 使った文房具を少し雑にカバンへしまう。中でシャーペンと金属の筆箱が当たった音が静かな教室に良く際立って聞こえた。 職員室の前に置いてあるトレーから"鬼塚"と書いてあるラベルを確認して、3枚の課題をしまって学校を後にした。
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