第一章

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『リセットスイッチ』 これは人生をやり直すことができるスイッチです。 ですが、また赤子に戻って‥‥、というわけではありません。あなたの身の回りの人間の人生を代わりにあなた自身が遅れるというものです。あなたのその退屈した人生をやり直してみてはどうですか? おそらく、誰が見ても一歩引いてしまうような顔を今しているだろう。 誰がこんなことを信じるだろうか? だが、今のところ特にどこかに電話するだの登録するようなことは書かれていない。 それに、少しこの新手の詐欺の手口に興味を持ったので続きを見てみよう。 ?その人になり変われる人生は1日です。もしその人生でいいというのであれば、代わっている間にスイッチを10秒間長押しをしてください。 ?リセットボタンのことを誰にも言ってはいけません。ばれずに使ってください。 ?このリセットボタンには 「彰人!お風呂に入りなさい!明日も早いんでしょう」 僕はとっさにスイッチと説明書を隠す。 どうやら完全に信じ込んでしまったみたいだ。 それもそのはずだよ。 よく見ると、包まれていた新聞紙は今から三十年後の未来の年号が印刷されていたのだから。 いかに詐欺師だって、ここまで凝ってやるものだろうか?けれど、現実味がなさすぎるのも事実。 まあ、とりあえず風呂にはいってゆっくり考えよう。 どちらにせよ、僕が使うことがないのだからさ。 安定した生活が一番、僕の人生に突拍子もない変化なんていらない。 一応、段ボールにスイッチと説明書をしまい、クローゼットの奥にしまいこみ、部屋を出た。
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