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「カズくん。私、煙草やめるわ」
「は?」
ベッドで互いにうつ伏せて、頭だけを持ちあげている。
触れ合う腕の肌が、しっとりと汗ばんで事の名残を示していた。
カズくんは咥え煙草で私にも煙草の箱を差し出したまま、固まっている。
一発やったらとりあえず一服。
それが私達の習慣だった。
「ほーん。マジで。どうしたの急に」
「ガッコも卒業して晴れて社会人だし。いい大人がいつまでも煙草吸ってるのもおかしいじゃない。身体に害しかないんだよ? そんなもの好んで吸うのって、粋がった子供くらいだよね」
「いやいや、その理屈の方がおかしくない? ってかそれ俺に言う?」
くつくつと肩を揺らしながら、カズくんは煙草の煙を燻らせる。
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