朝の時間

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向かい合わせに座る彼女。 斜め前の席とはいえ、毎日のように顔を見合わせれば多少は気になる。 とはいえ、挨拶をかわすこともない。 それはそうだ。 ただのお客同士。 知り合いでもなんでもない。 だが、毎日のように顔を見る彼女が気になるのも事実だった。 窓際に反射して見える彼女の姿。 彼女もタバコを吸わなかった。 吸わないのに喫煙室にいる理由は? 彼女も静かな空間を望んでいるのだろうか。 変わらない日常。 半年過ぎた頃、小さな変化が起きた。 斜め前の席に座っていた彼女がカフェに来なくなった。 ポッカリと空いた席。 1週間…2週間……1ヶ月。 彼女がカフェを訪れることはなかった。 いつものように飲んでいるブラックコーヒー。 味が変化したように思えるのは気のせいなのだろうか?
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