497人が本棚に入れています
本棚に追加
陛下が座る脇には、白い布に包まれた何かが置いてあった。
「それは一体何ですか?」
悪い予感しかしなかった北斗は、受けとるとは言わず何かを確認しようとした。
「御使い様の足の小指を守るための物です。魔法をかけない以上、安全の為にもお使い下さい」
どうしても引かぬ意思を見せる国王陛下。北斗は仕方なく受けとる事にした。
「さ、さ、布を引いてくだされ」
同席していた大臣がせかす。彼はこれが何かを知っているようだ。
「変な物じゃありませんように。………南無三!」
覚悟を決めた北斗が布を引く。出てきた代物は、決して変な物ではなかった。
外見だけで言えば、地球にも存在している物であり、この世界でも普通にある物であった。
「これを、どうしろと?」
「是非、御使い様にお使い頂きたい」
布から出てきた物、全身鎧を見て途方に暮れる北斗。
中世ヨーロッパの重騎士が使っていた物を思い浮かべていただければ、大体正解である。
頭の先から爪先まで、白銀に輝く金属が覆うようになっている鎧である。
しかしこの鎧、どう見ても材料は鉄や鋼ではない。
最初のコメントを投稿しよう!