置物

5/8
前へ
/136ページ
次へ
「これって、いかにも高そうな金属ですけど………」 「御使い様をお守りするのですから、知りうる限り最高の金属を使いました!」 えへんと胸を張り力説する国王陛下。得意気な顔が鬱陶しい。 「この世で最強の硬度を誇るオリハルコンです。いや~、手持ちで足りてよかった!」 ファンタジーでは定番の金属である。テンプレなら、かなりお高い金属のはずだ。 「それって、かなり貴重ですよね?」 「王家とドワーフ族の保有量の80%で足りました!」 国王は足りましたと気軽に言うが、言い換えると王家とドワーフ族の保有量は、両者合わせてもこの鎧の20%しかないと言うことだ。 「そんな貴重な金属、大量に無駄遣いしないで下さい!」 その事実に、北斗は国王への敬意も何も吹き飛んで突っ込んだ。 「無駄ではありません。御使い様のお体をお守りするのですから」 大臣が即座に反論するも、北斗には無駄遣い以外の何物にも見えなかった。 「私の体を守るって事は、この鎧を日常で使用するって事ですよね?」 「勿論ですとも。お早うからお休みまで、普段着のようにお使い下さい」
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

497人が本棚に入れています
本棚に追加