選択肢は有るようで無い

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北斗が目を覚ますと、目の前には髭を生やした老人と若い娘が立っていた。 その背後は真っ白。見渡す限り白い世界が続いていた。 「これって、携帯小説でお馴染みの転生イベントって奴かな?」 「最近の日本人は慌てたり騒いだりせんからつまらん。まあ、楽ではあるがの」 老人の言葉から、北斗は自分の予測が当たっていると判断した。 「では、私は死んだんですね?」 意識を失う前のあの頭痛。あれが原因で死んだのだろうと推測する北斗。 「いいえ、あなたはまだ死んでいません。あなたにお願いがあってお越し願いました」 老人の隣にいた娘が口を開く。整った顔立ちにメリハリのきいたプロポーション。 着ているのが真っ白なトーガのような衣装なのが惜しまれる。もう少し、体型がでる衣装なら……… 老人の方?じいさんの容姿の詳細なんて書いても楽しくないから省略。 「端的に言おう。君には彼女が造った世界に行って人々を救ってほしい」 異世界ものの小説ではテンプレな展開である。 「それって、拒否も出来るんですか?」 「当然じゃよ。同意も得ずに無理やりなんて非人道的な事はせんよ」
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