水無しはキツい

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周囲を石壁で囲まれた部屋。ただ一つのドアは分厚い木材の板に鉄で補強がなされ、アメフトの選手の体当たりでも壊れそうにない。 また、窓には太い鉄格子が填まり、到底人が出入りをする事は出来そうにない。 そんな密室となっている部屋の中央に、石で出来たテーブルがあった。 しかしその周囲には椅子が配置されておらず、使い勝手は悪そうだ。 そんなテーブル、実際には祭壇なのだが、その上に横たわる人影が。 「う、うーん。ここは一体?」 目覚めた男、北斗は辺りを見回す。暗い室内に窓から淡い光が差し込む。 「そうだ、俺は異世界に転移したんだ」 北斗は先程のやりとりを思い出し辺りを見回す。 窓からの光で辛うじて見える室内には、他の人影はない。 「誰もいないのか。とりあえず誰かに接触しないとな」 女神からは何の説明も受けていない。 ここはどこなのか、何をすれば良いのか、自身に与えられた能力とは何なのか。 その一切合切を北斗は知らないのだ。 起き上がりドアを開けようと手を添える。 全く動かないドアに、全体重をかける。しかし、ドアはびくともしない。
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