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「押してもダメなら引いてみろ………ダメか」
ドアは押しても引いても開く様子はない。外から鍵がかかっているようだ。
「あと出られそうなのは窓か」
光が差し込む窓を見るが、頑丈そうな格子がついている。
「青銅なら何とかなりそうだが………鉄だし太いから折れないな」
ドアも窓もダメ。九郎は完全に密室に閉じ込められた。
「何か、何か打開策があるはずだ!」
再び部屋の中を見渡す九郎。しかし、祭壇以外は羊皮紙が一枚落ちているだけだった。
「紙切れ一枚じゃ打開策にはならないか」
と思いつつも拾って光にかざす。見たこともない文字が書かれていたが、何故かその内容が手に取るように理解できた。
「こ、これは!」
その羊皮紙は女神が北斗にあてた手紙であった。それを読んだ北斗は窓に駆け寄り天を仰ぐ。
そこには青く真ん丸な月が一つ浮かび、それに寄り添うように真円から少し欠けた状態の月が一つ浮いていた。
「あの駄女神め!」
その手紙には北斗が閉じ込められた理由が書かれていた。
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