酒は飲んでも呑まれるな

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ドアが閉まり電車が動き出す。駅間が短いため、すぐに停車するが乗客の動きは少ない。 北斗は扉上部に取り付けられたモニターに目を向けた。 裏和テッズ3連勝 モニターにはニュース速報が流れていた。 「うん?あ~あ………」 次々流れるニュースの中の一つを見た北斗が反応する。 牛間舟渡駅(うしまふなとえき)の券売機にて計算違いによる過剰徴収発覚 「NR班の連中、修羅場だな………」 北斗が勤めるニシン電機は鉄道関連機器のサービス会社である。 改札機から列車集中制御システムまで、あらゆる機器の設置とメンテナンスを行っている。 ニュースにあったNR牛間舟渡は、都内から彩玉県に走る最強線の駅だ。 その駅で券売機の不具合があったとなれば、担当するNR班は修羅場となる。 その時彼は他人事のように考えていた。 同じ会社である以上、どこかの部署が多忙となれば他の部署にも皺寄せはくるもの。 しかし頭痛で頭が回らない彼にはそれが判らなかった。 そんな彼に現実を突きつける呼び出し音が鳴る。 実際には携帯がマナーモードになっていたため音は鳴らなかったのだが。 懐からガラケーを取り出した北斗は着信者の表示を見て顔をしかめた。
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