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観光名所を抱える有名駅とはいえ、ローカル私鉄の駅である。
決して多くない駅員数で想定外の業務を抱えるのは小さくない負担となっていた。
「それでは見させてもらいますね」
北斗は一番手前の券売機から硬貨を処理するブロックを引き出し状態を見る。
「あ~、見事にやられてますね」
部品を外し、洗浄液を付けた布で拭いていく。拭いては手動で動作を確認し、また別の部品を外して拭く。
一時間後、外した部品を元通りに組み上げた北斗は券売機の電源をあげた。
「よし、一台終わったのでテストしますね」
駅員室を出て表に回った北斗は券売機に硬貨を投入していく。
10円、50円、100円、500円と正常に入った事を確認し中止ボタンを押してキャンセルする。
それを数度繰り返し、問題が無いことを確認すると駅員さんが貼り付けた故障中の張り紙を剥がした。
「一台終わりました。次にかかりますね」
「おおっ、助かったよ。大変だろうけどお願いします!」
その後北斗は2台目、3台目と順調に修理を終わらせた。
「お疲れでしょう、一休みしませんか?」
「あ、ありがとうございます」
簡単に工具を片した北斗は駅員さんからお茶とお茶うけを受け取った。
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