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その日は、たまたま帰宅するのが早かった。
たった、それだけだ。
だけどそこでおれは、大きな荒波と遭遇する事になる。
いつもより少し早まった帰宅時間。
それが、道を踏み外す存在と遭遇する――なんて、その日のおれは、知りもしなかった。
だから、いつも通り学校で友達とさよならし、一人で家まで帰っていた。
「明菜は、もう帰ってるのかな?」
帰宅する足を進めながら、今年高校に入学したばかりの妹が帰っているか、考えた。
もし……帰っているのなら、今日は何を作ろうかな?
どうせ二人だけなんだから、スーパーに行って、惣菜等を買って、適当に食べればいいか。
そんな事を考えながら、家に辿りつく。
「ただいま」
玄関に鍵がかかっていない事を思えば、明菜は帰宅しているようだ。
しかし、返事が無い所からすると、一階には居ないらしい。
となると……恐らく二階にある自分の部屋だろう。
いつもの事だが、あまりにも無用心過ぎるので、文句の一言でも言ってやろうと階段を上がり、明菜の部屋へ向かう。
そして、いつもきっちりと閉まってるドアとは異なって、微かに開かれているのを不思議に思いながら、近づく。
すると、中から笑い声が聞こえてきた。
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