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誰か、友達でも来ているのか?
と思いながらも、そこからそっと覗けば……明菜と学ランを着た男が居た。
そして、明菜がそいつに腕を絡めてる所を見れば……どうやら、彼氏の様だ。
おいおい、いくら親の帰りが遅いからって、家に連れ込むなよ……。
なんて思いながらも、いまひとつ男の顔が見えないので、今度はどんな奴だろう、と興味を寄せてドアをノックする。
「コホン――明菜、二階に居るのなら、無用心だから玄関に鍵をしなさいと言ってるだろ?」
二人の世界に入ってる所で水を差したおれは、その場から感じる居たたまれなさから、俯きがちで言う。
「あ、お兄ちゃん。やだ、開けっ放しだった? ごめーん」
しかし、明菜から呑気な返答がやってきた所で、少し雰囲気が和らいだ様に感じた。
「次から気をつけろよな。それじゃあ」
とりあえずここで切り上げ、お説教は彼が帰った後にしようと思い、そこから去るつもりだった。
「誰?」
けれど彼のその一言で、部屋から去ろうとするおれの足が止められた。
「あ、さっきも言ったけど……明菜のお兄ちゃん。水谷一都(みずたに かずと)っていうの」
「……宜しく」
おれが去ってから聞けばいいのに……と思いながらも、相変わらず俯いたままで軽く礼をした。
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