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「……神主さんは今日も掃除しに来たんですか?」
「う~ん、半分正解かな。掃除はもちろんするけど、今日はこの桜を見に来たんだ」
神主さんは御神木である桜を見ながら続けた。
「この桜は毎年綺麗な花を咲かしてくれるけどね、今年はいつもよりも綺麗に咲いてくれるような気がしたんだ。だからね、私は毎日ここにきては確かめているんだ。どれだけ綺麗に咲いているのか。そして逃さないようにしているんだ。
最も綺麗な時を……」
そう言った神主さんの顔は、どこか憂いを帯びていた。
今までにこんな顔を私の前で見せたことなかったのに……。
今日の神主さんはどこか変だ。
まるで何かを恐れているよう。
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