唯一の執着

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   「今日、クラスの奴が、一都の事を話題にしてたんだよ」 「え? どんな?」 「……知るかよ」 一都は詳細を知りたがったけど、俺はそれ以上言わなかった。 口にするとまたムカつくし、それに……全部言ったら、やっぱりガキっぽさが拭えなくなるからだ。 だから……まだ気にしてる一都の顎を片手で捕らえ、こっちの方に向かせた。 「けど……一都はもう、俺のもんだから。誰にも、やらねぇから」 「……うん。コウも、おれのものだから……。だから、今日はいっぱい甘えていいよ」 はにかみながら口にした言葉に返事をせず、代わりに唇を深く合わせた。 一都の舌を絡めて、口腔を侵しながら、一都の言葉を再び頭の中で反芻して――そして、ひっそりとほくそえんだ。 ――いっぱい甘えていいだって? もう、取り消しは利かねぇぞ?
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