30人が本棚に入れています
本棚に追加
「そいえば弘平、水谷と付き合ってんだよなー?」
柳井がしれっと、言ってきた。
「そうだ、そうだ! あの水谷さんだよな! あー、弘平が羨ましいぜっ」
それに対してジッと、無言で柳井を見ていたら、俺達の会話を聞いてたらしい他の奴が、いきなり話に割って入ってきた。
「は? もう……別れたけど」
ちなみに、こいつ等が言っている『水谷』とは、一都の事ではなく、同じ学校に通う一都の妹、明菜のことだ。
こいつ等の言う通り、以前の俺は、一都の妹の明菜と付き合ってた。
けれど、それは一都に近づく為に、利用しただけの付き合いだった。
自分でも酷いやり方だったとは思うが……結果として、一都が手に入ったのだから、今更後悔することは一つも無い。
ただ……一方的に利用しちまった、明菜にはちょっと罪悪感は募るけど……。
「えぇー! マジかよ、なぁーんで?」
「……想いの不一致ってやつだ」
この学校で明菜は『可愛い』と言われ、なかなか有名だった。
だから、俺と付き合うことになった時は、周りから結構騒がれたものだ。
けど、反対に別れた直後は、周りに騒がれていない。
って言っても、明菜とは出会ったら普通に挨拶とかするし、態度は付き合ってた時とあまり変わっていない。
だから、こいつ等みたいに、俺達がまだ付き合ってると思ってる奴が殆どだろう。
最初のコメントを投稿しよう!