缶コーヒーと、無愛想と無表情

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ハタさんは私の手から買い物カゴを奪い取った。雑誌とかプリンとか、すでに入っている商品がカゴの中で賑やかに揺れる。 ハタさんはその中に、缶コーヒーを2本乱暴に投げ入れた。 「買ってくるから待ってろ。」 この流れ、奢ってくれるってことだろうか。 しばらく雑誌コーナーの前をうろうろと彷徨っていると、お会計を終えたハタさんが来た。 ハタさんは缶コーヒーを1本だけ取り出した後、私にずいっとレジ袋を差し出した。 「ありがとうございます。」 「ん。」 奢ってくれたのは、受験終わりの私へのご褒美か、社会人の余裕か、それとも… それとも、少しでも私のことを特別扱いしてくれているって、自惚れてもいいですか?
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