煙草と、無愛想と無表情

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『ID:MEVIUSLIGHTS』 「それ、俺の吸ってる煙草の銘柄。別に某トークアプリのIDとかじゃねーから。」 「いや、IDって書いて…」 「煙草の銘柄だっつってんだろ。」 そう言い張るものだから、煙草の銘柄ということにするしかない。 「俺、人事異動でもうこの交番ともお別れなんだよ。」 「それは奇遇ですね。私も春から隣県に一人暮らしで。この町ともしばらくお別れです。」 それがどうしたと誰かが言い出しそうな会話と、居心地の悪い沈黙。 ハタさんは、がしがしと頭を掻いた。 「だから、その…どっか遠く行っても連絡寄越せよ!」 あのコンビニの帰りに、突き放されたと思っていたのに。 私は、期待してもいいの?
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