朝と、無愛想と無表情

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本気で告白しているのに、いつもこうやってあしらわれる。 煙草の銘柄を聞くのは、たとえこの恋が叶わなくたってハタさんのことを忘れたくないから。 二十歳になってその煙草を吸ったとき、匂いがハタさんの事を思い出させてくれるだろうから。 これが最初で最後の恋だと思ってる。それくらい、私は本気だ。 「ほら、早く学校行けよ、無表情女子高生。」 真顔で告白し続けた結果、いつの間にかこんな呼び名が付けられていた。 ハタさんは無愛想で怠そうで言葉遣いが荒いけど、本当は優しいということを私は知っている。 迷子やお年寄りにはすこぶる優しいし。 奥様方には、不倫を迫られない程度の距離感を保ちながらも優しいし。 子供たちには、『ニコチンデカ』って呼ばれて仲良くなるくらいには、まあ優しいし。 そんなハタさんのことを、いつの間にか目で追っていた。
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