第13章 心の声

18/34
前へ
/34ページ
次へ
だってそんなことをしたら、仁に期待を持たせてしまう気がしたから。 あたしの想いが凪さんに届くことはなくても、あたしは仁の気持ちに応えることはきっと……ううん、絶対にないんだから。 「まあ、とりあえず寝ろ。んで、早く良くなれよな」 仁はそう言いながらあたしの髪をそっと撫でてくる。 けれどあたしは、「うん」と答えながらもその手から逃げるように寝返りをうって、仁に背中を向ける。 そしてゆっくりと瞼を閉じた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

397人が本棚に入れています
本棚に追加