第13章 心の声

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そう思ったけれど、視界の隅で何かが動いたのを感じて視線を向けると、壁にもたれて座りながら眠っている仁がいた。 部屋はひんやりとしているのに、何も掛けていないのを見て、今度は仁が風邪を引いてしまうのではないかと思ってしまう。 あたしが掛けていた毛布を慌てて仁に掛けてあげる。 その瞬間、ぱっと腕を掴まれた。 「ひゃっ!」 眠たそうに開けられた瞳がじっと見つめてくる。 「……仁?」 あたしがそう声をかけると、はっと我に返ったようにあたしの手を離した。 「わり、寝惚けてた」 「……うん」
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