第13章 心の声

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三月に入ったとはいえ、まだまだ冬の気配が残っているせいで、バスルームはさらにひんやりとしている。 いつもならバスタブにお湯をためてから入るんだけれど、今はすぐに熱いシャワーを浴びたかった。 瞳からこぼれ落ちる熱い雫を消すように頭から浴び続けるけれど、全然消えてはくれなくて。 そりゃそうだ。 凪さんへの想いが心に強く残っているんだから、こんな風に熱いお湯を浴びたからといって、すぐに涙が止まってくれるわけがない。 そう結論が出ると、ふっと身体の力が抜ける。
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