1.熱い夜

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ここへ、唐突に先輩が言った。 「皆星動物園、行ったことある?」 いきなり何を言い出すんだ。 僕は、わざと冷ややかに答える。 「いえ。一年経ちますが、社外の友達はいませんし、あまり動物園とか遊園地とか、この地域のそういうのよくわかりません。」 先輩の調子は変わらない。 「じゃあ、埋め合わせにさ、動物園でも行かない? 色々教えてあげるよ♪」 ニカッと笑う菊谷先輩。 きっと、今の僕の気持ちなんてわかっていまい。 悔し紛れに、答えてやった。 「いいですけど。」 これでいいんだよ。 僕は、菊谷先輩のただの後輩なんだから。 だから、ここで無理矢理キスなんてしても、何も変わらない。 酔った菊谷先輩は、今夜のことなんて忘れていて、僕は儚い夜の記憶に、一人心をかき乱され続けるだけだ。 しかし、動物園でなら、きっと楽しい一日を過ごせるんじゃないかな? 先輩後輩もなくさ。 (※[42])
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