ラスト・カレーデー

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そ・し・て....。 佐々川主任は何故かカレーを食うまいと、やたらと抵抗していたが、その健闘も虚しく俺のスプーンから次々とカレーを、口内に放り込まれていったのである。 それは完食するまで繰り返され――。 完食し終えると佐々川主任は、涙と鼻水を垂れ流しながら虚ろな瞳で何かを呟いていた。 「糞だ....。 みんな、みんな糞野郎だ....。 俺はただ、糞する所が見たいだけだったのに....まさか、糞を喰わされハメになるなんて、畜生....。畜生....。」 佐々川主任の声が小声過ぎて、何を言っているのか良くは分からないが、あの表情から考えて恐らくは、感極まって大泣きしてしまったのだろう。 (分かる....分かります、貴方の気持ちは――。 何しろ、選別して入手するのは困難だしね....。 泣くほど嬉しかったんですね、佐々川主任?) 俺がそんな事を思った正に、その時――。 不意に佐々川主任が、虚ろな瞳のまま笑いだした。 そして、笑い終えた直後、佐々川主任がこの世の人とは思えぬ笑みを浮かべながら、俺に向かって冷たき言葉を放つ。 「あんたも、会社の奴等も皆....。」 ――――――「道連れだ!」―――――― そう....呟く様に言うと同時、佐々川主任が警備室に備え付けられたパソコンを、鬼気迫る速さで叩き出す。 そして、数分後....佐々川主任は瞳をギラギラさせながら突然、振り向いた。 「終わりだ....糞野郎!」 佐々川主任はそう俺に言い放ち、パソコンのキーボードを押す。 (糞喰ったのは佐々川主任だから、糞野郎は佐々川主任なのに....嬉しさの余り、混乱してるんだろうか??) そして、佐々川主任の行いの意味を知らぬまま俺達は、重役が出勤する午前8時を迎えたのである。 だが....それより数分後....俺は、いや....俺達は知る事になった。 佐々川主任の言葉の意味を――。 うちの会社には、緊急伝達システムと言うモノがある。 それは主に緊急の伝達事項を、会社内のモニターに送り出すモノだが佐々川主任は、それに例の映像とウィルスを乗せて、送り出したのだった。 例の映像とは、俺の大便カレー・俺の名前字幕入り。 ウィルスとは約数時間の間、どんなコマンドも受け付けしない凶悪なウィルスである。 俺が糞王だと言う事は恐らく、カレーでバレたのだろう....。 だが問題は、その先だった。
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