ラスト・カレーデー

2/11
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
突然だが、俺には人に言えない趣味がある。 俺の名は熊谷好太郎【くまがや・こうたろう】。 ――とある証券会社に勤める何処にでも居る、ただのサラリーマンだ。 だが、人には言えない趣味....それに関しては不本意ながら、特殊だと言わざる得ない。 その趣味とは恐らく世界人口全体の90%以上の人々が忌み嫌う類いのものであろうから――。 故に俺は、それを秘密にしてきたのだ。 目立つ生き方をしたくなかったが故に――。 しかし、俺の趣味はイバラの道....。 俺とて本当なら、この様な趣味を持つ予定ではなかった。 だが恐らく、それは避けられない運命だったのだろう。 そう....あれは運命だったのだ....。 今にしてみれば、そう思う。 俺が、超カレー好きになったのも、その時からだ。 まぁ、恐らく読者の方々には何のこっちゃ?――としか思えぬ事だろうが....。 なので順を追って話すとしよう。 俺がこうなったのは、俺が小学生の頃の体験に起因する。 その切っ掛けとは、俺が小学生の頃にあった....ある誘拐事件だ。 今から大体、16年前の事である。 当時、俺はまだ10歳であった。 そして誘拐されたのは、うちの小学校の女子。 清楚で可愛い、良い所の令嬢、頭も良く運動神経も良い。 誘拐されたのは、そんな良い所取りの天が、二物以上与えた....そんな女の子。 彼女は明らかに俺とは、接点の無い人種であろう。 だが、俺は成り行きで彼女を発見する事になった。 彼女を発見した場所は、たまに休みの時に俺が秘密基地にしていた廃屋。 そこは、彼女が誘拐される数日前から、売り地の看板が立っており、立ち入り禁止になっていた。 だから俺は、立ち入りしないでいたのだが彼女が誘拐されてから数日後――。 俺は我慢出来なくなり、その廃屋へと立ち入った。 その日は日曜日。 コッソリ ならバレない筈――。 そう思い俺は廃屋へと忍び込む。 案の定、そこには誰も居なかった。 だが、それは飽くまでも自由に歩き回っている人間はと言う意味である。 拘束されている人間は居た。 誘拐された少女。 秋本優香里【あきもと・ゆかり】が。 彼女は下着を剥ぎ取られた状態で、縛られていた。 そして、猿ぐつわも――。 理由は恐らく、トイレに対する対処故にだろう。 そこには昔馴染みのオマルが、備え付けられていたのである。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!