さてさて、高校入学です。

13/15
前へ
/19ページ
次へ
「なんだそりゃ…てか、うん、わかった。お前が俺を全く怖がってないってことだけはわかった」 ため息まじりにそうこぼす声に同情。 かわいそうに、疲れたんだな。まぁ、こんな会話疲れるわな。俺の所為だけど。まぁだからって態度を変える気もないし、変えない。 あ、あの雲ドーナツ型だ。 あっちは食パン? あっちは…って腹減ったな…。 なんて考えながら、さすがにずっと背を向けたまま喋るのはあれかと振り返ると、かち合う瞳は綺麗な青だった。 さっきは気付かなかったな。 自前なのだろうか。だとしたら、ハーフ?カラコン?もしかしたら、髪も地毛なんだろうか? 耳の、目と同じ色のピアスが光を反射して光った。我に返る。 そこで、図ったかのように自己紹介がはじまった。 「俺は狼虎 時雨(ろうこ しぐれ)だ。よろしく。」 そう言ってうっすら笑った顔に殺意がわく。 なぜって、こいつ、イケメンだ…! これまた、特上の。いかにもモテそうな、甘いマスク。 敵だ、こいつ。ゆるさねぇ。 折角向き直った体をふたたび窓側にむけ、仲睦まじくとぶ二羽の鳥をみながら答えた。 「ろうこwwwwwwwwwつよそうっすねwwwキラキラネームならぬキラキラ苗字wwwwじゃあ、しぐちゃんって呼ぶねwww俺はまことだよ。まこちゃんってよんでくれてもいいよ?www」 「…よろしくな、まこと」 窓ガラスにうつった、銀髪もといしぐちゃんを見ると、一瞬訝しげな顔をしたものの、まこちゃん発言完全なるスルー。そして、友好的な笑みまで浮かべていらっしゃる。男前だな。 しかし、うーん、侮れない。目を細め、唐突に別れてしまった二羽の鳥を目で追いかける。 …うん、侮れん。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加