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「なんだそりゃ…てか、うん、わかった。お前が俺を全く怖がってないってことだけはわかった」
ため息まじりにそうこぼす声に同情。
かわいそうに、疲れたんだな。まぁ、こんな会話疲れるわな。俺の所為だけど。まぁだからって態度を変える気もないし、変えない。
あ、あの雲ドーナツ型だ。
あっちは食パン?
あっちは…って腹減ったな…。
なんて考えながら、さすがにずっと背を向けたまま喋るのはあれかと振り返ると、かち合う瞳は綺麗な青だった。
さっきは気付かなかったな。
自前なのだろうか。だとしたら、ハーフ?カラコン?もしかしたら、髪も地毛なんだろうか?
耳の、目と同じ色のピアスが光を反射して光った。我に返る。
そこで、図ったかのように自己紹介がはじまった。
「俺は狼虎 時雨(ろうこ しぐれ)だ。よろしく。」
そう言ってうっすら笑った顔に殺意がわく。
なぜって、こいつ、イケメンだ…!
これまた、特上の。いかにもモテそうな、甘いマスク。
敵だ、こいつ。ゆるさねぇ。
折角向き直った体をふたたび窓側にむけ、仲睦まじくとぶ二羽の鳥をみながら答えた。
「ろうこwwwwwwwwwつよそうっすねwwwキラキラネームならぬキラキラ苗字wwwwじゃあ、しぐちゃんって呼ぶねwww俺はまことだよ。まこちゃんってよんでくれてもいいよ?www」
「…よろしくな、まこと」
窓ガラスにうつった、銀髪もといしぐちゃんを見ると、一瞬訝しげな顔をしたものの、まこちゃん発言完全なるスルー。そして、友好的な笑みまで浮かべていらっしゃる。男前だな。
しかし、うーん、侮れない。目を細め、唐突に別れてしまった二羽の鳥を目で追いかける。
…うん、侮れん。
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