生徒会長橘君

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「じゃあ誠、取り引きな」 耳元でそう囁き、誠は軽く舌打ちをした。 このまま帰って恋麦をネタに橘を動かすのも悪くない。 ただ、何故判ったのだろう。 疲れていたし、昼食を軽く済ませたせいか今はとてもお腹が空いている。 脂っこい物を食べたいと思っていたし、甘い物も食べたかった。 橘は更に畳み掛ける。 「デザートってもしかしてかき氷?」 「あ、ちょっと違うよ。今回はシェイクにしたんだー。デコポンと桃がね、美味しそうだったから」 「・・・誠、やっぱ帰った方が良いと思う」 「もう良いや。食べます。はい。是非食べさせて下さい」 負けた。 だがもう何でもいいし、お腹が空いた。 礼二郎が褒める人物が気にはなっていたが、あの偏食だった橘をここまで虜にする料理だ。 如何なものか知りたくなった。 清水がタイミング良く車でやって来る。 橘に命じられた買い物を全て済ませたようだ。 誠の姿を見て少し驚いた後、和かに車のドアを開いた。 「橘が助手席ね。私は恋麦ちゃんの隣」 「は?」 「ねぇ、恋麦ちゃん。私とアドレスの交換しよ」 初、女子とアドレスの交換。 恋麦は顔を真っ赤にして頷く。 一方、助手席に乗るしかない橘は二人を背に不機嫌だ。 清水が肩を震わせていたので睨んでみたが、後ろで盛り上がる女子との温度差がツボにはまったようである。 「私ね、あまり友達が居ないの。と、いうより他人に興味がないのよねー。自分の時間は自分で使いたいし、誰かに合わせるのは好きじゃないし」 「・・・橘君みたい」 「良く似てるねって言われる。私、橘の事嫌いだし」 「なんだ、奇遇だね。僕もだよ」 助手席からサラッと一言。 だが、二人はそれを承知の上だと笑う。 「だから私、誠ちゃんの事大丈夫なのかなぁ。初対面なのにそんな感じしないの」 「きっと何か企んでるんじゃない?」 またサラッと一言。 橘の背に思いっ切り舌を出した誠に恋麦は笑う。 「誠ちゃん面白いね」 「ユーモアはあるよ。一応ね。それより橘と一緒なんて大丈夫?襲われちゃうよ?」 「・・・橘君が襲うの?私を?それは無いよー。私達親友だもん」 少し間があって、誠はお腹を抱えて笑い出した。 余程面白かったらしい。 「む、報われねー」 「清水、誠をここから放り出せ」
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