小泉×広重《こずみとひろしげ》

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 改札を抜け、駅前の景色に目をやる。  ラーメン屋、本屋。それ以外にもいろんな小さな店が軒を連ね、店に囲まれた細めの路地を人がひっきりなしに行き交っている。それなのにタクシーなんかも駅前まで入り込んでくるものだから忙しいことこの上ない。  この様子をどう表現したらいいだろう。賑やか? ううん、違う。しばらく物思いに耽り、やがて心の中で手を打った。  せせこましい――だ。  腑に落ちると、私は一度振り返り、駅の看板に目をやる。  白地の看板の下から3分の1の部分は薄い空色のラインが引かれている。白の部分には、黒字で京急金沢八景駅と記され、空色の部分にはその駅のアルファベット表記がされている。
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