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「ご苦労じゃな、カカオ、モカ。特にモカよ。仕事には大分慣れたかな?」
そう言って、ポンと栗色頭に手を置くブルマン長老の掌は温かい。
もう90歳をとうに超えているハズだが、この奇抜なファッションのおかげか、年齢よりは確実に若く見られる。
もっとも、トレードマークであるメガネについては
「アレさえなければなぁ・・」
というのが、この大陸に住まう人々の概ね一致する意見であり、周囲からもそれとなく
「ダッサイですよ」
と進言するものの、本人は全く聞く耳を持たない。
もっともそれで人望を失わないのは、その篤実な性格と、類い稀なる指導力によるものだろう。
・・たぶん。
「仕事にはだいぶ慣れました。でも・・あの・・」
「うん?」
モジモジと何か言いたげなモカを促すように、七色の光を放ちながらブルマンが微笑む。
眩しげ、というより、多少鬱陶しそうにカカオが目を細める中、モカは意を決して口を開いた。
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