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「お姉ちゃん、早く帰ってこないかなー・・」
まだ別れて2分しか経っていないのに、モカの心には早くも寂しさが募る。
そんな弱い自分を叱咤するように、ブンブンとモカは栗色の頭を振った。
「(だめだめ!!ウルトラドンの変身時間より短いって、どんなヘタレよわたし!!せめてその30倍は頑張らないと・・
って、あれ?3分の30倍って・・900分だっけ?ってことは・・何日??)」
寂しさが、元々決して高くはない計算能力すら奪い去っていく。
3分しか変身できないくせに、度々タイムオーバーでボコボコにされる、ちょっとおバカなテレビヒーロー《ウルトラドン》。
そんな彼はモカにとって、ヘコんだ時にそっと背中を押してくれる(あくまでもイメージ)心の支えとも言うべき存在であるのだが(くどいようだがイメージ)、今は心の隙間を埋めるカンフル剤にはならない。
何者から何者を守れば良いのかも知らず。
ギュッと無骨な長槍を握りしめたまま、時間が少しでも早く進むようにと祈り続けるモカの前で、陽はゆっくりと傾き・・
やがて世界は薄闇に包まれ始めた。
ブルマン長老、そして最愛の姉カカオは・・
未だ帰らない。
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