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「お姉ちゃん、もう疲れたよー・・」
「・・・・。」
よく晴れた昼下がり。
肩上に揃えられた栗色の髪をそよぐ風にほわほわと揺らしつつ、恨み言のように言葉を紡ぐ少女の顔には、不満の色がありありと浮かんでいる。
「カカオお姉ちゃん、休憩しようよー・・」
「・・・・。」
先程より一歩踏み込んだ、直接的な懇願の言葉。
だが、カカオと呼ばれた栗色の長髪を持つ少女は、聞こえているのか聞こえていないのか、目を閉じたまま全く応える素振りを見せない。
しばらくその物言わぬ秀麗な横顔を未練がましく眺めていた少女だったが、最早こうなったらテコでも動かないことを承知しているのだろう。
肺の中が空になろうかという程に盛大な溜め息を一つ吐き、しぶしぶ説得を諦めた。
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