Episode0-1 カカオとモカ

3/45
前へ
/404ページ
次へ
4つの大陸から構成される世界(ウェルシニア)。 その中の一つであり、最も自然に満ち溢れた大陸が、ここ《ティルメリア》である。 大陸と呼ぶに相応しいだけの面積を持ちながら、そこに暮らす人々の総数は凡そ1万人足らず。 ポツポツと点在する村々を除けば、あとは色とりどりの花や緑が見渡す限りに広がっている。 そんな大陸の一角に佇む、通称 「ゆめりぎ」 と呼ばれる大木の下に、この二人の少女は佇んでいた。 二人とも、年の頃はまだ10代半ばから後半という所だろう。 だが、性別、そしてその年齢に明らかにそぐわないものを、二人は所持していた。 「花の乙女がこんなゴツいもの持たされてさ・・」 そう言って若干おぼつかない手つきで握り込むのは、三ツ又の長槍。 一方のカカオは、身の丈を超えるほどの大剣を手にしている。 「(はぁ・・こんなんじゃ、誰もお嫁に貰ってくれないよ・・)」 眩しい陽の光と反比例するような自分の将来に想いを馳せ、少女は再び大きなため息を吐いた。
/404ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加