Episode0-1 カカオとモカ

4/45
前へ
/404ページ
次へ
◇◆◇ 「モカよ、お主をムッシュに任じる」 …ムッシュ!!?? 思わず笑いだしそうになった宣告を、ブルマン=コロンビアークス長老--即ち、この大陸の長から突然受けたのは、丁度3ヶ月前にあたる14歳の誕生日の事だった。 「(ムッシュ…ムッシュ…ムッシュッシュ…)」 ブルマンの長老として相応しい厳かな声。 だがそれに見合わない、一部無駄に改竄された軽妙なフレーズが、勝手気ままに頭の中を駆け巡る。 栗色の髪をピクピクと痙攣させながら、吹き出すのを堪える少女--モカは、なけなしの腹筋を総動員し、なんとか笑いのビッグウェーブを乗り切る事に成功した。 だが、ブルマン長老が 「イケてる最先端のファッション」 と位置付け、頑として譲ろうとしないハートをモチーフにしたメガネ。そして 「ムッシュ」 というキテレツな単語は、静かなブームとなってモカの笑いのツボを執拗に刺激してくる。
/404ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加