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「はあぁ・・退屈だなぁ・・」
モカは
「ゆめりぎ」
の樹の下で、もう何度目か数える気にもならない、欠伸混じりのため息を吐いた。
「姉と一緒に仕事ができる」
そんなちょっと大人の仲間入りをした気分で意気込んでいたモカを待ち受けていたものは・・
ひたすら、何の変哲もない大木の番をするという、何とも拍子抜けな仕事だった。
しかも、こんな大仰な武器まで携えて、だ。もっとも
「何の変哲もない」
という言葉には、少々語弊がある。
そこらに生えているだけの樹木と違い、この
「ゆめりぎ」
の樹だけには昼夜を問わず、赤や黄色・・そして緑や青など、様々な光がまるで蛍のように瞬いているのだ。
この仕事に就き始めた当初は
「キレイだなぁ」
と思ったものだが、慣れとは恐ろしきもの。
ほんの数日でその優美な光景にも見飽きてしまった。
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