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そして、通常の樹木と異なる点がもう一つ。
樹齢数千年とも、数万年とも言われる立派な幹には、小さな鍵つきの扉が取り付けられている。
扉の質感や、幹と一体化しているかのように埋め込まれている事から、後から取り付けられたものではないようだが、
「ムッシュ」
の仕事とは、どうやらその扉の中に保管されている物の管理、及び守護が主らしい。
となれば、その中身が何であるのかを知りたいと思うのは人として当然の欲求だと思うのだが、姉のカカオも、そしてブルマンも
「絶対に開けないように」
と繰り返すばかりで、その中に何が収められているのかを教えてはくれなかった。
つまるところ
「姉と一緒に過ごせるのは嬉しいけれど、結局何をさせられているのかわらかない」
というのがモカの正直な感想であり、これではモチベーションも上がろうはずがなかったのだ。
「おーね゛ーえ゛ーぢゃぁぁ~~ん゛」
退屈に耐えかね、濁点をふんだんにまぶして呼び掛けるが、眠るが如く目を閉じた姉からの反応はない。
おっとりした見かけの通り、基本のんびりした性格のモカだったが、さすがにこの反応には腹が立ってきた。
「(よーし・・)」
カチャリ…と長槍を木に立て掛け、そろそろと姉との距離を縮める。
そして--
「お姉ちゃんってば!!」
バイィィ・・ン
音にならない音を発したのは、モカが下から弾き上げた・・
齢18にして、神の如き発育を見せる姉の胸だった。
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