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「・・・・!!」
ほんの一瞬だけ静止した時間。
その空白の時間を塗り潰すかのように
ゴヒュッ!!
という死神が振るう鎌のような、無慈悲極まる風切り音が響き渡る。
「うひゃあっ!!」
思わず見事なまでの尻餅をつくモカ。
その頭上で、いつの間に出現したのか、抜き身の大剣がぴしり・・と一分の乱れもなく静止していた。
常識を遥かに超越した速度で抜き放たれた横薙ぎの斬撃。
それはおよそ剣が発したと思えない風圧と共に、モカの毛髪を数本ハラハラと舞い散らせる。
「ああああ危ないなっっ!カッパみたいな頭になったらどーすんの!?」
「・・その時は潔く《ザビエル》とでも名乗りなさい。というか・・今度やったら問答無用で頭が平らになるわよ」
身の毛もよだつ恐ろしい宣告を口にしながらも、ようやく口を開いた姉の姿に、モカは弾けるような笑顔を見せる。
そんな妹の様子を、怒った猫のように睨んでいたカカオだったが、やがて屈託のない笑顔に根負けしたように肩の力を抜いた。
「まったく・・あなたと居たら、ロクに瞑想も出来ないわね」
そう言って呆れたように肩を竦める姉の姿を、モカはニコニコ笑いながら見つめた。
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