第九章

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「な・・・・・・にが?」 「無防備すぎる栄一のことがですよ。色っぽい腰つきを露わに掻くような真似、絶対に人前でしないで頂きたい」 いやいや 俺の腰に色気を感じるのは お前だけだろう 「約束して下さい。でないと」 「でない・・・・・・っ、と?」 含まれた尖りを 強く吸われて とろっと零れ出た雫を 指で掬った真人の 「平常心を保てる自信がない」 嫉妬の滲む声に 胸をときめかせた俺の 「わ・・・・・・かった」 涙袋が膨らみ染まったと 気付いて 目を伏せた あー、痒い スーツの上からでなく Yシャツを 捲って直に掻きたい 「この時期に珍しいね。虫さされかい?」 「あ、はい」 違うけど 予告なしの襲撃という点で 暴漢と 虫も同じレベルかも 判断して 「薬を塗れば少し落ち着くんですけどね」 肩を竦めた 「昨日起きた一連の出来事を報告するぞ」 外回りから 戻った岩田に頷く 「係長たちと一緒に食堂で祝賀会をする予定が、SINOさんの『祐ちゃんはいつ帰ってくるの?』慰め会に変更されたんだ」 「何があった?」 声を潜めた俺に 「先ずは確認。SINOさんの恋人が誰か知ってただろ、お前」 岩田が顔を寄せ囁いた
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