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「ごめん、黙ってるよう頼まれたんだ」
「事情は訊いた。SINOさんの実力でなく、優遇されてるからだと陰口を言わせないためだと」
実力で請け負うた仕事でも
噂の方を
真に受け落ち込んでしまう
忍くんの
性格を把握仕切ってる
佐藤営業部長の配慮で
あの二人が
恋人同士と知る人は少ない
頷いた俺に
「その彼にSINOさんが連絡したんだ」
“良かったな”
大好きな人に
言って欲しくてかけたら
『しーちゃん、悪い。
『ちょっと祐輔。私といるのに電話なんかに出ないで、さっさと切ってよ』
後で、必ずかけ直す』
通話を切られてしまった
「それは・・・・・・、酷いな」
「だろ? 食欲もない、声を掛けても上の空、とてもじゃないが仕事を続けられる状態じゃない。かと言って一人で帰宅させるのも心配だってことで、木山部長に相談したんだ」
書類に目を落としたまま
話に
耳を傾けていた部長の
『佐藤が出張? どういうことだ』
不機嫌な声が響いた
『報告が遅れて申し訳ありません。実はですね、広報の者がモデルの機嫌を損ねまして、女性差別だと訴えてやるだの、SNSに投稿するだのと息巻かれたものですから、何とか、しなければと交渉しましてですね』
企画に呼び出された
広報部長が
鋭い目で見据えてくる
木山部長に
噴き出す汗をハンカチで
拭いつつ
続ける説明を
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