第九章

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沈黙していた真人が ふぅ 小さく息を吐き出し 「分かりました。同行します」 口元を引き締めて頷いた 「あら、王子様がご一緒なの?」 小首を傾げた横川さんが くっと 口角を上げ 「木山くんを護衛するよう貴文に頼まれたんでしょう」 悪女の微笑を浮かべた 「担当の岩田くんは忍くんの隣にどうぞ、木山くんと桜田くんはペアだもの。引き離せないわね」 「あ、はい」 横川さんと忍くん 忍くんの隣に岩田 暸ちゃんを岩田の隣に 座らせることは 出来ない ・・・・・・となると 「座ろうぜ、桜田。木山さんも」 岩田に促され 「あなたは私の隣、よろしくね? 企画の王子様」 ぴくっ 片眉を動かした真人を 気にしつつ 岩田と暸ちゃんに 挟まれた席へと 腰を下ろした 「何かねー、急にモデル事務所の待遇が変わったんだって。たっちゃん、何をしたか知ってる? 玲ちゃん」 頷いた横川さんの長い髪が サラリ 音を立てて揺れる 「でも、穏やかな口調で会話しただけよ 『御社のモデルの元で、我が社の社員は電話に出ることも抑制されている様子ですね。部下と恋人からの訴えが耳に届きまして、いえ、電話の応対向上のため会話は録音されておりますので確認した上で申し上げております。いえいえ、彼の人権が蹂躙されてるなどとまでは、ええ、一般的な考えしか思い浮かべておりません』 って、ね? 普通でしょう」 いや、それ アンタら方も 人権侵害で 訴えられたくないだろう? 暗に脅してます
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