第九章

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コトン 円卓テーブルに置いた うどんを 「それだけ? 桜ちゃん、少食になったの?」 覗き込んできた忍くんが 大きな瞳を 俺に向け首を傾げた 「あ・・・・・・うん、ていうか」 真人のせい と言ったら 語弊がありそうだけど 食堂でガッツリ 食べるより 「昼に食い過ぎると眠くなるから、さ? 制限してるだけで」 ギャルソンエプロンを キュッと 締まった腰に巻き 料理の出来ない俺のため 早起きして 作り置いてくれる飯を 「朝晩は、腹いっぱいになるまで食ってるよ」 残したくない 「ふふ、いい顔するのね」 いい顔? あ、まさか ヨダレを垂らしてる? ささっと 口元を手で拭って 「美味い料理を前にしたような顔、とか、してましたか? 俺」 横川さんに聞いてみた 「残念、ハズレ」 首を横に振った彼女が 目を閉じて 「さっきの桜田くんの顔はね?」 うわ、色っぽい ふっくらした唇を ツンと尖らせ フォークに刺したステーキに チュッ キスして 薄く目を開け微笑んだ 「恋人の熱を感じてるようなセクシーな表情、でした」 ・・・・・・・・・・・・え、いや まさか そんな表情してたわけない ね? 暸ちゃん
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