第九章

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自分のことのように 「良かったな、桜田」 祝福してくれる親友に 「ん」 小さく頷いた 二日前の祝賀会の後 ぽかぽかと 温まる心と体を真人へと 寄り添わせた俺は 『完治するまで無理は禁物です』 えー?! 愛撫されただけで 真人の熱を 受け入れていない 「痣を指で押せば痛いに決まってるだろう、馬鹿」 トイレで一人なのを 確認して ぼそっと不満を呟きつつ さっきの 塩谷さんと伊藤さんの 会話を 思い出すと 溜め息が止まらなくなる 『いい、あの二人萌えるわー』 塩谷さんの言葉が グサッ 胸に突き刺さってきた 『どこがだい?』 ・・・・・・・・・やっぱり 『腹に一物抱えてますってところがよ。あの暗さを含んだ雰囲気が私の妄想を擽ってくるの、素敵』 そう見えるんだ 『アハハ、キミの想像力は豊かだね』 タイプは違っても 男振りのいい二人が 並び立つと絵になる 「仕事も出来るし、名ばかりの上司の俺より魅力もある岩田に・・・・・・」 惹かれてしまったのかも ・・・・・・だから 言い訳ばかりして 俺のこと 抱いてくれないのかな
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